デンマーク製 ヴィンテージのソーイングテーブル脚が割れてしまったと相談を頂きました。
脚先にはキャスターが取り付けられて可動するタイプ。このキャスターの支柱が力点となってしまい割れてしまったようです。
よく観察をすると、今回割れていた箇所はすでに接着剤が入っていた様子。さらに割れていない別の脚の様子も見てみると、他の脚にも割れを修理したような痕を見つけることが出来ました。どうしても負荷が掛かってしまう箇所のようです。
もともと力が作用するポイントのため、割れたパーツをただ接着をするだけでは再度負荷が掛かった際に簡単に剥がれてしまうと予想されます。そのため今回は
①割れたパーツをとりあえず圧着
②割れた位置よりも深くまで支柱となる補強材を埋め込む
③埋め込んだ補強材にキャスターを挿し込むための穴を新規に開けてキャスターを取り付ける
という手順で修理を行いました。
キャスターに負荷が掛かった際に、接着した箇所に力が直接影響がしないようにする、という作戦でした。
修理を終えて無事ご納品も済ませています。
実は今回はお客さまの方で、購入店様の方へも修理の相談をしていただけました。
購入店様でも修理の対応はしてくれたそうですが、脚を作り直すという提案だったそうです。
もちろん脚を作り直せば強度は確実だと思います。
しかし、どのような修理を行うのが正しい/正しくないという答えは存在していません。
私のスタンスとしては、脚を交換してしまうのは最後の手段でも良いのかな、と。
今の素材を利用して修理する方法があるならば、いろいろと悩んで試してみて、それでも改善できなかった場合に新しく交換することを考えてみる。
安全や安心がある程度担保されることが前提だとは思いますが、長い年月を重ねたヴィンテージ家具。手直ししながらその歴史に想いを馳せて、労わりながら思い遣りながら付き合っていくことではじめて得られる関係性というものも、そんなに悪いものではないと思うんですよね。
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