1960年代頃のデンマーク製チェアセット
後ろ脚から背凭れへと延びる造形の美しさに一目ぼれをして仕入れました。
仕入れ当時はブーメランのように折れ曲がった後ろ脚、しっかりとテーパードをつけて先へと細くなっていくその造形が格好良いと思い、実際手にして確かにそのシルエットも美しいのであるが
その先端、背板から僅か1㎝突き出た背もたれの先端の意匠こそ、この椅子デザインの世界観を決定づけていると感じました。どういうことかと尋ねられても返答に困るのですが、まさに「神はディテールに宿る」という有名な言葉を借りて共通理解としていただければと存じます。
背板にもクッション材が充てられていますので当たりが大変良いです。また適度な角度が設けられているため楽に姿勢を作ることが出来ます。長時間の使用に大変お勧めのチェアです。
シートには東レさんの合成皮革:ウルトラスエードから「BLACK OLIVE」カラーをセレクトして張り替えました。
この色は先日から店頭に並んでいるJorgen Mortensenの花器(最後の写真)の苔生したような色合いに「侘び寂び」とあと何故か「涼」を感じて惹かれていまして、思考を引っ張られたようです。アフロチークの濃い色とも合っていて落ち着いた良い仕上がりだと思います。
Condition
アフロモシアを使用した木部はすべて、古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施してからオイル塗装にて再仕上を済ませました。
全体的に傷も少なく良いコンディションです。一脚の背凭れ内側に大きめの擦り傷が残っています。これが一番目立つ痕なので載せておきます。写真にてご確認ください。
シート内部ウレタンクッションは新規に交換済み。上述した生地にて張替まで済ませています。
Daily care
普段のお手入れは、柔らかな布やブラシなどで埃を払う程度のお掃除が基本
たまに風通しの良い場所に置いてあげたり、お部屋の空気を入れ替えるなど清潔な環境を整えることが大切です。
【木部のお手入れ】
乾拭きをすることで表面に残る油分や蝋分が磨き上げられて艶が増す効果が期待できます。
定期的にワックスやオイルを塗布して保湿ケアも心掛けてあげてください。
普段は乾拭き、落ちきらない汚れがある時に固く絞った水拭きを施すなど、塗装表面に負担の掛からないよう様子を見ながら段階的なケアが望ましいです。
【シートのお手入れ】
使用したウルトラスエードは油汚れなどもぬるま湯で固く絞った柔らかな布等で拭き落とすことが出来るとても機能的な素材です。
普段はブラッシングなどで付着物を払い落し、繊維の流れを整えてあげることでスエード調の風合いを保持して頂けます。
日常のお手入れ方法もお気軽にご相談ください